KHI VOICE
今回は、SaaSの普及が医療現場にもたらす標準化と連携性の進展、そしてクラウドカルテを中心とした新たな医療エコシステムの可能性について説明いたします。
連載
クラウドカルテblancが見据える医療DX
vol.3 SaaSの広がりによるエコシステムの進化
1. 院内完結から、つながる医療へ

vol.1では、クラウド化による運用コスト削減と医療現場へのメリットをご紹介しました。今回はそこから一歩進み、SaaSの拡大が医療情報の“つながり”をどう変えていくのかに注目します。
クラウドカルテをはじめとするSaaSの大きな特長は、「共通の仕組み」で運用されている点にあります。かつての院内サーバー型システムは、病院ごとに異なるネットワーク構成やデータ仕様に応じて個別対応が求められ、ベンダー間の調整や移行作業に大きなコストがかかっていました。
しかし、SaaSではあらかじめ公開されたAPIや標準化されたデータ形式を前提として設計されているため、異なるサービス間での連携が格段にしやすくなります。これにより、医療情報の活用範囲が一施設内にとどまらず、地域や他分野との「接続」にまで広がる可能性が出てきました。
2. 専門SaaSの広がりが生む連携
医療現場では、診療、看護、薬剤、リハビリ、検査、会計、物流といった多様な業務があり、それぞれに適したSaaSが登場しはじめています。これまでは個別に導入・運用されることが多かったこれらのシステムも、クラウドベースで設計されることで連携を前提とした運用が可能になります。
たとえば、カルテシステムと処方支援SaaS、検査データ管理SaaS、さらにはオンライン診療や医療物流サービスまでがAPI経由でつながれば、人の手を介さずにスムーズな情報の受け渡しや一貫した業務フローを実現できます。
この仕組みは、クラウドカルテ blanc と WebORCA クラウド版の連携を例にすると分かりやすいでしょう。診療で入力した内容がそのままレセプトに反映されるため二重入力が不要となり、転記ミスも防げます。さらにWebORCAは診療報酬改定や点数マスタを自動更新するため、常に最新ルールで請求処理が可能です。両システムともクラウド提供のためサーバー管理の負担もなく、分院や在宅医療でも同じ環境を共有できます。
それぞれの製品は単体でも価値がありますが、「連携されたときに初めて生まれる価値」がこれからの医療ITの本質になるでしょう。
3. 医療エコシステムが切り開く未来
医療機関が今後ますます多くのSaaSを導入していく中で、重要になるのは「選んだサービスが他のサービスと“つながる”前提で設計されているか」という視点です。
SaaSの連携によって構築される医療エコシステムは、単なる製品群ではありません。それは、医療者の業務をつなぎ、患者中心の医療体験を実現する基盤です。クラウドカルテはその中心として、様々な分野のSaaSと連携しながら、病院という枠を超えた価値の創出を支えます。
SaaSを選ぶ際に最も大切なのは「そのサービスが他とつながれるかどうか」です。ぜひ、次に導入を検討するシステムでは“接続性”を意識してみてください。
その選択が、未来のエコシステムの一部となり、医療全体の変革につながります。
本コラムで伝えたいこと
- SaaSがもたらす「標準化」と「接続性」こそが、次世代の医療インフラの核になる
- 各領域の専門SaaSが連携することで、より豊かなエコシステムが形成される
- その中心には、接続性に優れたクラウドカルテがある