KHI VOICE
今回は「SaaSが推進する医療DX」というテーマの中でも、セキュリティ被害についての対応や、天災等の被害時の事業継続性という観点でSaaSの提供する価値を説明いたします。
連載
クラウドカルテblancが見据える医療DX
vol.2 バックアップ・セキュリティ対策の最適解
サイバー攻撃への対応
昨今、企業のITセキュリティに関する脅威は絶え間なく、医療機関も例外ではありません。特に、セキュリティ対策の不備がサイバー攻撃の標的になるケースが増えています。この状況では、医療機関におけるデジタル情報の適切な管理が一層求められています。
前回の話では、企業内メールサービスの運用において、システム運用コストとして「セキュリティソリューションの導入」を挙げました。電子カルテの導入においても、ウィルス対策ソフトの適用やアクセス権の管理などの対策が必要です。ですが、OSのバージョン固定など既存ソフトウェアの動作環境を維持する運用も一般的でした。
しかし、最新のOSアップデートがセキュリティ向上に貢献することからも、ソフトウェアの環境を最新に保つことがサイバー攻撃への基本的な対策です。ただし、これらの更新をタイミング良く完璧に行うのは容易ではありません。さらに、ファイアウォールなどのセキュリティ製品も進化しており、万全な対応は各医療機関にとって大きな負担になります。
そこで、SaaSシステムの利用が期待されています。SaaSソリューションは、多くのユーザーのために一括管理されるため、効率的かつ高度な対応が可能です。SaaSベンダーが環境の最新化とセキュリティソリューションの導入を担うため、各施設での対応が不要になります。また、クラウド基盤が提供する進化するセキュリティ機能を活用することで、院内サーバーでは実現困難な高度な運用環境が可能になります。
バックアップと冗長化
サイバー攻撃に対する高いセキュリティ確保は重要ですが、データのバックアップ確保も被害最小化と事業継続のためには不可欠です。この点でも、クラウド基盤を利用するSaaSは優位性を持っています。
院内サーバー構築でもデータバックアップと冗長化は行いますが、安心できる環境を整えるためには膨大なコストがかかります。セキュリティリスクが高まる今日、クラウド基盤の仮想化されたサーバーリソースを柔軟に活用するSaaSソリューションは、十分なバックアップと冗長化を低コストで実現する最良の手段です。
災害時への備え
災害時におけるシステムの冗長化は医療機関にとって非常に重要です。院内サーバーの主なリスクは、物理的に一箇所に集中していることと、設置環境が最適でない可能性があります。これに対し、クラウドカルテのようなクラウドベースのシステムは、データを複数の地理的に分散した場所に保存するため、一箇所での災害が全体のシステムに与える影響を減らします。
また、クラウドシステムは災害発生時の医療記録への迅速なアクセスを可能にし、復旧も迅速です。これは、院内サーバーの物理的な修復や再構築よりも速く、効率的です。このため、クラウドベースのソリューションは、災害発生時の医療サービスの質を維持し、患者の安全を守るために重要な役割を果たします。
まとめ
今回はSaaSソリューションの価値をセキュリティ対策という側面から説明しました。総括すると以下のようになります。
- サイバー攻撃リスクの増加と災害時の事業継続リスクへの関心が高まっています。
- これにより、高度なシステム運用が期待されます。
- 院内サーバーでこれを実現するには、大量の人手、高度な知識、高価なセキュリティ製品が必要です。
- クラウドカルテblancなどのSaaS製品を活用することで、これらの対策を低コストで実現できます。
これまでに、システムの維持管理の面から見たメリットをご紹介しましたが、これはSaaSが提供する価値の入り口に過ぎません。医療分野全体がSaaSを活用することで、日本の医療が目指すべき本当のデジタルトランスフォーメーション(DX)への扉が開かれると私達は考えております。