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KHI VOICE

亀田医療情報では2020年より、クラウドカルテblancというSaaS製品の提供を開始しています。この記事では、わたしたち亀田医療情報が、日本の医療への貢献を目指し、電子カルテのクラウドサービス化に全力で取り組むそのワケを解説するシリーズです。

連載

クラウドカルテblancが見据える医療DX

vol.1 運用の手間やコストの低減による業務DXの推進

■ 医療における業務システムである電子カルテがSaaSになる必然

業務システムは、業務がより効率的/効果的に行われることを支援し、それが実現する効果が導入するコストに比べより大きくなることが期待されます。当然ですが、ちょっとだけ便利にするために見合わない高いコストを掛けることはできません。これは電子カルテも同様です。医療現場における効果を数的に図るのは容易ではありませんが、システムを導入・運用するコストを下げることはコストパフォーマンスを上げる直接的な取り組みになります。

業務システムがSaaS/クラウドサービスになることがコストを下げる上でどれだけ効果的なのかは医療の外に目を向ければ明らかです。現在多くの業務システムはSaaS化し、会社内で自社運用するシステムはよほど特異性を持った業務を支援する製品に限られつつあります。SaaSは汎用的な業務に対してベストプラクティスを提供し、高いコストパフォーマンスを実現します。

■ SaaS化したメールサービスの例

SaaS化した最も原始的な業務支援システムとして電子メールをあげることができます。企業で活用する”メール”が自社運用することが当たり前だった時代がありました。GmailやOffice365、その他様々なメールサービスが当たり前となっている現状において、自社でサーバーを管理しサービスを運用することは多くの企業にとって考えられないことでしょう。IT部門の業務を増やし、サーバーの購入費や保守費、故障時の対応など想像するだけで耐え難いものだとわかります。

業務にメールを活用するハードルの変化

それだけではありません。以前とは異なり、業務を行ううえで必要とされるシステムは非常に多岐に渡ります。会計システムや給与システム、稟議システムやビジネスチャットなど数え上げれば10や20はよくある範疇ではないでしょうか。これらのシステムそれぞれに過去にメールサーバーに行っていたような管理を行うことは優秀なスタッフがいたとしても困難でしょう。

もちろんgmailやOffice365を使う際にも運用コストは0ではありません。ユーザーを管理し、必要に応じて機能設定を見直すなどやるべきことはあります。しかしこれらは本質的な業務の一環であり、上記に挙げたようなシステムを保守するための業務は最小化されることになり、結果的に少人数でいくつものシステムを導入し、同時に運用していくことも可能になってきているのです。

■ 医療機関の課題解決にもSaaSが必要

ここまでは一般企業について考慮してみましたが、これは病院や診療所にも同じことが言えます。電子カルテを始めとする病院向けシステムは、診療情報の保管場所に関する法律などの制約やそもそもの技術的な制約によって長いあいだ、病院内に設置されるサーバー上に構築されることが当然とされてきました。システムはハードウェアの保守期限に従って6-7年に1度更新され、それまでは可能な限り稼働環境に手を入れずに安定稼働を目指す、といった方針をとられることが多いものでした。まさにメールサーバーを維持するような手間とコストを各医療機関が負っている状況となっています。

そして同時に、医療機関においてもやはり様々な業務領域でのIT化が普及してきています。多岐にわたる専門部門システムや、予約・再来受付機などの患者様向けシステム、地域連携のシステム、物流や購買管理など一般企業に比べても多くのシステム導入が期待されるようになってきておりますし、実際にされています。これらを各病院のIT部門で管理するというのは無理があるというものです。多くの場合はシステムベンダーに外注する形でこれを実現しようとするわけですが、手間がコストに変換されるのが常です。

病院でもSaaSの活用ができるようになるとどう変わるでしょうか。現在の一般企業がそうであるように、より多くの医療施設でより多くのITソリューションをより安価に活用できるようになるでしょう。そして、システムの維持に手間やコストを割くのではなく、よりよい活用への取り組みにリソースを傾けることができるようになります。業務を整理し、あるべき形を組織内でディスカッションし、システム化していく、これこそが病院業務のDXへの第一歩となるでしょう。

■高度に求められるセキュリティ対応

最後に第2回への布石となりますが、昨今では稼働するシステムに対するセキュリティの取り組みについて、以前に比べ高度な対応が期待されるようになっています。ネットワークを含むセキュリティ設計から、OSや各ミドルウェアの定期的なバージョンアップ・セキュリティパッチの適用などの運用面においてもシステム管理上の負担は増してきており、各医療機関でガイドラインを十分満たすことは相当困難な状況にもなりつつあります。SaaSでは高度なセキュリティ対応やバックアップなどユーザー負荷を最小限に実現することが可能になり、クラウドカルテblancでもそれらのメリットを生かしたサービスを提供しております。

次回は「バックアップ・セキュリティ対策の最適解」と題してSaaS製品が提供する価値をご説明していきます。

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