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KHI VOICE

「医療DX令和ビジョン2030」が加速する2026年。電子カルテの標準化やクラウド移行、さらには生成AIの活用まで、第77回九州精神神経学会で発表した内容をお届けします。

連載

クラウドカルテblancが見据える医療DX

【学会発表】電子カルテの今後の動向とAI活用の方向性 - 「人間中心の医療」へ

はじめに

2026年現在、日本の医療ITは大きな転換点を迎えています 。政府が進める「医療DX令和ビジョン2030」により、医療機関同士がデータでつながる時代が到来しました 。本記事では、先日の「第77回九州精神神経学会」での発表内容を基に、最新の医療IT動向を整理してお伝えします 。

1. 医療DXの現在地:つながる情報の基盤

政府は、2030年までに概ねすべての医療機関での電子カルテ導入と情報共有を目指しています 。

  • 電子処方箋の普及: 薬局の導入率はすでに86%を超え、重複投薬や併用禁忌のアラート機能が医療安全に大きく貢献しています 。
  • 電子カルテ情報共有サービス: 2026年度夏のリリースタイミング公表に向け、診療情報提供書や「6情報」を全国で参照できる仕組みの実装が進んでいます 。
  • 標準化の進展: 国は電子カルテそのものを配るのではなく、データの形式を揃える「共通ルール作り」を主導しており、当社も民間企業として設計・開発のワーキンググループに参画しています 。

2. オンプレミス型が抱える「現代の構造的リスク」

これまで主流だった院内設置(オンプレミス)型のシステムは、昨今の環境変化により「維持するだけで高コスト・高リスク」な状況になりつつあります 。

  • 「院内完結」の限界: かつてはネットワークを閉じれば安全でしたが、現在は外部とのAPI連携が必須となり、境界防御だけでは不十分になっています 。
  • 技術進化への遅れ: AIや画像解析といった高速な進化に対し、数年ごとのサーバー更新(買い切りモデル)ではシステムがすぐに陳腐化してしまいます 。
  • IT人材の不足: サーバーの管理、セキュリティ対応、BCP(事業継続計画)の負担を院内だけで抱えるのは、特に中小病院において現実的ではなくなっています 。

このような背景から、政府指針でも2030年までのできる限り早い時期にクラウド型システムへ移行していく方針が示されています 。

3. 生成AI×電子カルテ:対話が導く新しい診察スタイル

生成AI(LLM)の爆発的普及は、医療現場の「記録業務」を劇的に変えようとしています 。

  • 診療記録の自動生成: 医師と患者の会話から、主訴や現病歴を構造化したカルテ原案をAIが作成します 。
  • 情報の探索と要約: 膨大な過去の記録や紹介状から必要な情報をチャット形式で検索し、診察前の「予習サマリ」として提示します 。

これらにより、PCに向かってキーボードを打つ時間を、患者様と向き合う時間へと戻すことが可能になります 。

おわりに:テクノロジーで「人間中心」の医療へ

かつての電子カルテ化は情報入力を増やしましたが、これからのクラウドとAIの活用は、医療者の「時間」と「認知リソース」を解放します 。

当社は25年以上の電子カルテ開発の知見を活かし、情報連携とAI活用を通じて、改めて「人間中心の医療」を実現するお手伝いを続けてまいります 。